こんにちは。なおです。
まず、前回アンケート「あなたのターゲットは、女性?男性?」の結果共有から。
何度かイベントに足を運んだ感触から、「9割は女性向け」と思っていましたが、それに近い感じでしたね〜。
なんで、どうしても読者ペルソナは、「女性向けに売っている作家さん」になってしまいますが、男性向けでも変わらず有用な話をしていきたいと思っております。
では、本題に入りましょう!
モノづくりってこういうんだよなぁ
先日threadsの方でもソフトタッチした話を深掘りしたいと思います。
きっかけは、とあるアウトドア系の雑誌。
(ボク自身はアウトドアとは無縁のインドア派都会っ子です。勉強のために、雑誌読み放題サービスで、興味のない分野の雑誌もペラペラめくっている次第)
アウトドア系の人たちには、「MYOG(Make Your Own Gear)」という文化があるそうです。自分が使うためのアイテムを自作する文化ですね。
この雑誌には、当初は自分のために自作したアイテムを、ブランドを立ち上げて販売するようになった人達の話がたくさん出てきます。
「ああ、モノづくりってこういうんだよなぁ」と、思わず共感してしまいました。
そして、お客さんに愛されるブランドを作るために必要なエッセンスが、多々含まれていました。もちろん、あなたのブランドにも活かせます。
かいつまんで紹介しましょう。
作り始めたきっかけ
何名かの作家さんが、「求めるアイテムが既製品では手に入らなくて、自作することにした」と言っています。
まさに、ブランドの原点。
『アンチテーゼから始まるブランド構築』という記事でも書いているんですが、ブランドの本質はアンチテーゼだと思っています。
なぜ自分が重い腰を上げてブランドを立ち上げなきゃいけなかったかといえば、そうしなければ「理想の世界」が手に入らないから。
「わたしの理想が手に入らない、間違った世界へのアンチテーゼ」が、ブランドの本質。ビジネスでも、政治家でも、宗教家でも、ここは同じなのです。
非効率であることが価値
AIの時代に、超アナログな手づくりをする意義を感じました。
ものすごくザックリですが、AIというのは、最大公約数的な発想で回答を出す傾向があると思います。ムダや非効率は避けて、経済的で効率的な発想ですよね。
一方で「人」が作るハンドメイド作品には、往々にしてムダが包含されます。が、そのムダこそが個性であり、お客さんのハートを揺さぶるのだと思うんです。
テレビでたまに「カラオケ100点で歌う」みたいな企画あるじゃないですか。スポーツとしては面白いですが、音楽としては面白くないんですよね。
それよりも、歌い手の外しが効いた、「らしさ」が出ている方が面白い。これと似たような感覚です。効率とか正確さを超えたところにも、魅力って宿るんですよ。
ブランドストーリー
みんな、ブランドのストーリーがしっかりしてるんですよね。
ストーリーとは、頭からお尻まで文脈がつながっている状態。辞書や電話帳のようにぶつ切りではないということです。
ビジネスで言えば、
- 作家さんがどういうバックグランドを持っていて、
- そこからどういう意見・哲学・メッセージを持つに至って、
- その表現のアウトプットとしてこの作品がある
という文脈がつながっていること。
登場する人たちは、大雑把にはこんな感じ。
大学で〇〇部でアウトドア活動をしていた。
社会人になってからは、週末に山へ繰り出す生活。
アウトドア仲間内で、自作で作る「MYOG」という文化を知る。
痒いところに手が届いていなかったアイテムを自作しようと決意。
実家のミシンを拝借して、試作品を作ってみた。
やってみたら面白くて、ちゃんとしたミシンを買って制作に没頭。
試行錯誤の末、現在の作品に至っている。
おそらくご本人は、「ストーリーを作ろう」とは意識してないと思います。でも、過去にやってきたことを並べて話したら、ちゃんとストーリーになっているんですね。
作家さんに「自己分析」を勧める理由の1つがこれ。自分の人生を顧みて、そこから必然的に滲み出てくる作品を作っていれば、ストーリーは勝手にできてしまうものです。
100回の試作品
「100回試作品を作った」「構想に2年かかった」のような話が出てきます。
あなたに「100回試作品作れや(ゴルァ)」と言いたいんじゃありませんよ。言いたかったのは、「100回も試作できるほど、こだわれる箇所があるか?」って話です。
それだけ改善案が出せるのは、「理想の状態」を持っているからですね。
例えば、雪山を登るのに使うバックパックなら、
- 1gでも軽い方が良くて
- 防水で
- よく破れやすい箇所が補強されていて
- 特定のアイテムを収納できるポケットがあって
- 手袋をしたままでも開きやすい
といった、理想の状態があるはず。
「人生の目標」も同じで、ゴールを見据えているからこそ、そこに向かって長い距離をまっすぐ進んでいけるのです。
もし向かう先がなければ、「まぁ、こんなもんでええんちゃう?」と早々に足を止めてしまうでしょう。
それが必ずしも悪いとは言いませんが、やはりこだわり抜かれた作品とは、競争力に違いが出てしまうと思います。
企業ではできない個人の強み
これ、すごく良い話(なので、ちょい長めに語ります)。
トレイル用のバックパックを作っている作家さんが、走行中の揺れを防止するために、逆三角形状のカタチを採用したそうです。
ここで「なぜ大手メーカーは、同じ答えに至らなかったのか?」という素朴な疑問が湧きますよね。
会社の場合、デザイナーがいて、パターンを引く人がいて、テストランナーがいて、複数の人が絡む。個人の場合は、それを全て自分がやる。この一体感が違うんだと。
個人的に、これは常々思っていたこと。
ビジネスの世界で、「マーケター」「デザイナー」「エンジニア」の3人の専門職が集まれば、良いプロダクトが作れるという話があります。
「この3つが最低限必要なスキルだよ」という意味では本当ですが、「ベストなプロダクトを作れる」という意味では間違いだと思っています。
3人が集まるとして、誰かが主導的な役割を担うことになります。この場合では、「マーケター」がリードするのが一般的でしょう。
「デザイナー」は、マーケターの意向に沿って、十分に満たせそうなデザインを提案します。これにマーケターが、「OK。これで行こう」と採用します。
「エンジニア」もほぼ同じ。マーケターの意向に沿って、実装可能な仕様を提案します。これにマーケターが、「OK。それでお願い」と採用します。
実はデザイナーもエンジニアも、提案には含んでいない引き出しを大量に持っています。その引き出しを漁ったら、もっと良いプロダクトになる素地があるのです。
しかしマーケターは、デザインもエンジニアリングもわかっていないので、その引き出しの存在を知りません。
誰がリードするにしても、他の職掌を理解していないことには、100%のポテンシャルを引き出せないのです。
個人的には、「マーケティング、デザイン、エンジニアリング」の3つを理解している人が、専門職のデザイナーとエンジニアを従えるのがベストだと信じています。
ハンドメイド作家は、まさに「マーケティング、デザイン、エンジニアリング」を自分1人でやっているわけで。
1人でやっているからこそできる作品が必ずある。個人の作家の強みだと思います。
「そんな大層なことは...」と謙遜されるかもしれませんが、実際あなたもやっているんですよ?自信を持ってくださいね!
「MYOG」なる文化は初耳でした。ハンドメイドブランドのあり方とすごく親和性高いと思いました。
普段はiPadでペラペラめくって眺めるくらいで、文字を追うことすらしないんですが、今回はじっくり読んでしまいましたね。
雑誌読み放題だと配信期間が終わると見れなくなってしまうので、資料として本で購入して、手元に置いておこうと思います。